出版不況なる言葉があります。 日本では1997年以降、出版産業の市場規模が年々縮小しています。 そこにきて、AmazonやAppleが黒船のようにやってきて電子化へ向けて市場を開放せよ、と迫る事態になっています。
さて、自分自身のことを考えてみましょう。自分は本を読むのが好きだったし、今もそうです。 本を読みたくないなどと思ったことはありません。しかし、本を読む時間が確実に減っています。 なぜかと言えば、単純に、別のことに時間がとられているからです。 別のこととは何かと言えば、それはインターネットです。 パソコンやiPhoneを前にして、Webをアクセスしている時間が確実に増えていて、それにともなって紙の本を手にしている時間が減っているのです。
これは、多くの人に共通した傾向ではないでしょうか。 なぜ、Webに多くの時間を使ってしまうのでしょうか。 それは、Webがリアルタイム性や双方向性を持ったダイナミックなメディアであるからではないでしょうか。 そこが何といっても従来の書籍やテレビとは絶対的に違うWebの魅了なのであり、多くの人がそれに惹かれます。
人は傾向としてリアルタイム性や双方向性に惹かれます。 ゲームが一人で遊ぶものからソーシャルゲームへと移り変わろうとしているのもそのためです。
だから、紙の本を単純に電子化しても出版市場がそれだけで復活することはないような気がします。 相変わらずそれは何か魅力に欠け、多くの人の時間を別のところから持ってくるだけのパワーに欠けます。
単に読むという行為を満たすのであれば、それは紙の本で十分です。 紙の本であれば、お風呂の中でも、外で日向ぼっこしながらでも、電車の中でも、喫茶店でも、トイレの中でも、どこにだって持っていけてすぐに読めます。
私たちは、そんなものではなく、電子書籍をもっと魅力的な場にしたいと願っています。 そこには、ソーシャル・コミュニケーションの機能が欠かせないと考えています。
世の中には読書会という活動があります。 みんなが集まり、共通の本についての感想を語り合うものです。 同じ本を読んでも人はそれぞれいろいろ違った感想を持つものです。 人の意見を聞きながら、なるほどと関心をしたりし、自分自身の考えを更に高めることができます。
しかし、読書会なるものは、多くの人にとって参加するのに少々気後れするでしょう。 Webの上ならもっと気楽な感じでオンライン読書会ができるのではないでしょうか。 そして、それが、長々とした感想文を書く必要があるものではなく、Twitter的なちょっとしたつぶやきレベルで感想を書き込めたら多くの人が気楽に参加できるのではないでしょうか。 そのような試みは、本を読む楽みを増やすのではないでしょうか。 そしてそれは、ネットの上だからできることです。 書籍を電子化してネットの上にのせる価値というものはこういうところにあるのではないでしょうか。
まだ、始まったばかりです。 すごく小さな一歩です。 しかし、ロゴスウェアが、Libraという製品に込めた気持ちはこういうものです。
石神
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